ワンちゃんとネコちゃんの咳のトラブル ―ケンネルコフ―

【こんなことはありませんか?】
• 子犬を迎え入れたら1週間も経たないのにケッケッと咳をし始めた。
• 安静時や就寝中も咳が出て辛そう。
上記の症状がある → すぐに受診してください。

【この記事のトピック】
• 迎え入れたばかりの子犬が咳をしていたら、ケンネルコフを疑いましょう。
• 咳の症状以外は、特に問題がないことが多いです。
• 動物の移動のストレスや環境の変化が発症の誘因になることがあります。
• 1~2週間の内服薬の投与で治癒する事が多いが、症状が長引いたり悪化したりする時は、早めに病院を受診しましょう。

【ケンネルコフとは】
• ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)は、ウイルスや細菌が混合感染して起こる呼吸器の病気です。
• ペットショップ、ブリーダー、保護施設など多頭飼育環境で感染しやすいです。
• 子犬・免疫力の低い犬は特に注意が必要です。
• 人の「風邪」に近いイメージです。
• 子犬を購入後、数日〜1週間前後で発症することが多いです。

【主な症状】
よく見られる症状
• 乾いた咳(ケッケッ、コンコン、ガーガー)。
• 咳き込むと吐くような仕草(嘔吐ではない)。
• 興奮時・運動後・首輪を引いた時に咳が出やすい。
• 透明〜白っぽい鼻水。

重症化すると
• 元気・食欲低下。
• 発熱。
• 黄色や緑色の鼻水。
• 肺炎(特に子犬は注意)。
※「元気はあるが咳だけ」というケースも多いです。

【診断の進め方。当院の場合】
1.問診
• 購入時期と他犬との接触歴を伺います。発症までの病気の潜伏期間の推測に必要です。
• 食欲と元気を確認します。子犬のケンネルコフでは咳以外は問題なしというケースが多いのでこれらの低下は重症を疑います。

2.身体検査
• 咳の性質(乾いた咳、湿った咳、ゲッと吐くような咳など)、聴診にて心音と呼吸音の確認を行います。呼吸音の異常や亢進は気管支炎や肺炎を示唆します。
• 必要に応じて、レントゲン検査にて気管支炎や肺炎の有無を、血液検査にて炎症の程度(白血球数、CRP)を評価します。
• PCR検査(原因病原体の特定)が必要になることは稀です。
※多くの場合、症状と経過から臨床診断されます。

【治療方法】
症状の程度によって治療が変わります。

軽症の場合
• 気管支拡張薬:気管支を広げて呼吸を楽にします。また、気道粘膜を保護し、痰の排泄を助けます。
• 去痰薬:痰の排出を促します。
• 咳止め薬:咳の頻度を減らし、気道の炎症を軽減し、呼吸を楽にします。
• 抗炎症薬:気管支炎などの炎症を軽減します。
• 安静、保温、適度な保湿をします。
• 自然に回復(1〜2週間程度)することもあります。
※当院では、ケンネルコフでは気管支拡張薬(アミノフィリン)、去痰薬(アンブロキソール)を主に処方しております。

細菌感染が疑われる場合
・抗生物質を処方します。
※当院では、ケンネルコフではアジスロマイシンを主に処方しております。

重症・肺炎を伴う場合(まれ)
• 点滴治療
• 酸素吸入
• 入院管理(子犬ではまれに必要)

【自宅での注意点】
• 興奮させないようにしましょう。無理な運動も避けてください。
• 首輪よりハーネスを使用しましょう(頚部の気管を圧迫しない)。
• 他の犬との接触を避けましょう(感染防止)。
• 室内を乾燥させすぎないようにしましょう。
• 十分な水分補給をさせましょう。
• 症状悪化(咳が続く・元気消失・食欲不振・呼吸が苦しそう)があればすぐ病院を受診しましょう。

【予後と予防】
• 多くは適切な治療で完治します。
• ワクチン(混合ワクチン)で重症化予防が可能です。
• 子犬購入後は早めの健康チェックをおすすめします(飼育初心者の方の中には咳をそれと気づかないことがあります)。

【よくある質問FAQ】
Q1. 子犬でもかかりますか?
A. はい、子犬は特にかかりやすいです。
免疫が未発達なため、ペットショップ・ブリーダー・ドッグラン・動物病院など、犬が集まる場所で感染することがあります。

Q2. 他の犬や人にうつりますか?
A.犬同士ではうつります(感染力は強め)が、人には基本的にうつりません。
治るまでは、他の犬との接触は避けましょう。

Q3. 動物病院に行く目安は?
A. 次の場合は早めに受診してください:
• 咳が3~5日以上続く
• 咳がどんどんひどくなる
• 食欲・元気がない
• 黄色や緑色の鼻水が出る

Q4. 治療期間はどれくらいかかりますか?
A.軽症の場合は、1~2週間程度で回復することが多いです。
薬(咳止め・抗生剤など)が処方された場合は、獣医師の指示どおり投薬しましょう。

Q5. 予防はできますか?
A. 完全ではありませんが、以下でリスクを下げることができます。
• 混合ワクチン接種
• 子犬期は犬が密集する場所を避ける
• 体調が悪い犬との接触を避ける
• ストレスを減らす

Q6. 咳が治ったらすぐ散歩をしてもいいですか?
A.完全に咳が止まってから、数日~1週間が経過したら、散歩を再開するのが安心です。
再発や他犬への感染防止のため、獣医師の指示に従いましょう。