犬と猫の外耳炎

【このような症状はありませんか?】
• 耳をしきりに掻いている
• 頭を頻繁に振る
• 耳から嫌な臭いがする
• 耳垢が増えた
• 黒色や黄色のベタベタした耳垢が出る
• 耳が赤く腫れている
• 耳を触られるのを嫌がる
• 痛がって鳴く
• 顔を床にこすりつける
• 元気や食欲が落ちる
• 耳の周囲の毛が汚れている
上記の症状がある → 注意が必要です。
犬や猫が頻繁に耳を気にしている場合、「外耳炎」を起こしている可能性があります。外耳炎は動物病院でも非常に多い耳の病気で、放置すると慢性化し、治療が長引くこともあります。
特に垂れ耳の犬種や、耳の中に毛が多い犬種、アレルギー体質の犬猫では繰り返し発症することがあります。

【外耳炎とは?】
外耳炎とは、「耳の入り口から鼓膜までの部分(外耳)」に炎症が起こる病気です。
軽度であれば赤みやかゆみ程度ですが、悪化すると強い痛みや大量の耳垢、細菌感染を引き起こします。慢性化すると耳道が狭くなり、治療が難しくなる場合もあります。

【外耳炎の種類】
➀細菌性外耳炎
細菌が増殖することで発症する外耳炎です。最も一般的なタイプで、犬で多くみられます。
〇主な症状
• 黄色〜茶色の耳垢
• 強い臭い
• 耳の赤み
• 痛み
〇特徴
湿気や耳の蒸れ、アレルギーなどが背景にあることが多く、再発しやすい特徴があります。

➁マラセチア性外耳炎
「マラセチア」という酵母様真菌が増殖するタイプです。
〇主な症状
• ベタベタした黒褐色の耳垢
• 強い脂っぽい臭い
• 強いかゆみ
〇特徴
脂漏症やアレルギー疾患と関連していることが多く、慢性化しやすい傾向があります。

「マラセチア性外耳炎の耳」

「正常な耳」

➂耳ダニ(ミミヒゼンダニ)性外耳炎
猫や若齢犬で多い寄生虫性外耳炎です。
〇主な症状
• 黒い乾燥した耳垢
• 大抵は両側性の発症。
• 激しいかゆみ
• 頭を振る
〇特徴
多頭飼育では感染が広がりやすいため注意が必要です。

➃アレルギー性外耳炎
食物アレルギーやアトピー性皮膚炎に伴って起こる外耳炎です。
〇主な症状
• 慢性的な耳のかゆみ
• 繰り返す外耳炎
• 皮膚の赤み
〇特徴
根本原因であるアレルギー管理が重要になります。

➄異物による外耳炎
草の種や毛玉などが耳に入り炎症を起こすタイプです。
〇主な症状
• 急に頭を振る
• 強い痛み
• 片耳だけの症状
〇特徴
散歩後に突然症状が出るケースがあります。

【外耳炎の原因】
外耳炎は単一の原因だけでなく、複数の要因が重なって発症することが多い病気です。
➀耳の構造
犬猫の耳道はL字型をしており、湿気がこもりやすい構造です。
特に以下の犬種では注意が必要です。
• トイ・プードル
• コッカー・スパニエル
• フレンチ・ブルドッグ
• ゴールデン・レトリーバー

➁湿気・蒸れ
シャンプー後や水遊び後に耳が湿ったままだと、細菌や真菌が増殖しやすくなります。

➂アレルギー
近年では、慢性外耳炎の背景にアレルギー疾患があるケースが増えています。

➃間違った耳掃除
過度な耳掃除は皮膚を傷つけ、逆に炎症を悪化させることがあります。
綿棒を奥まで入れる行為は危険です。

【外耳炎の診断】
➀耳鏡検査
耳の中を観察し、赤み・腫れ・耳垢の状態を確認します。

➁耳垢検査(細胞診)
耳垢を顕微鏡で調べ、細菌・マラセチア・耳ダニの有無を確認します。
外耳炎の治療方針を決める上で非常に重要な検査です。

➂細菌培養検査
難治性や再発性の場合には、どの抗生物質が有効か調べるため培養検査を行うことがあります。

➃基礎疾患の検査
アレルギーや内分泌疾患が疑われる場合には血液検査などを追加します。

【外耳炎の治療方法】
➀耳洗浄(クリーニング)
治療の基本となるのが耳洗浄です。
耳垢を除去することで、点耳薬がしっかり作用するようになります。
ただし重度炎症では無理な洗浄で悪化する場合もあるため、獣医師の判断が必要です。

➁点耳薬による治療
現在の外耳炎治療では、点耳薬が中心となります。
近年は「毎日点耳するタイプ」だけでなく、「1回で長期間効果が続くタイプ」も増えています。
ⅰ毎日点耳するタイプ
〇特徴
1日1〜2回、自宅で継続的に点耳します。
〇長所
• 細かく治療調整できる
• 比較的安価
• 重症例にも対応しやすい
• 改善を見ながら変更できる
〇短所
• 毎日の投薬が必要
• 嫌がる動物ではストレスになる
• 飼主の負担が大きい
• 投薬忘れで治療効果が下がる
〇向いているケース
• 慢性外耳炎
• 重症例
• 頻繁な再診が可能な場合

ⅱ週1回〜隔週タイプ
〇特徴
病院で投与することが多く、持続性のある薬剤です。
〇長所
• 自宅投薬の負担軽減
• 投薬ミスが少ない
• 動物とのストレス軽減
〇短所
• 毎日タイプより高価
• 重症例では不十分な場合がある
• 再診が必要
〇向いているケース
• 軽度〜中等度外耳炎
• 投薬を嫌がる動物

ⅲ月1回タイプ(長期持続型点耳薬)
〇特徴
1回の点耳で数週間効果が持続する製剤です。
〇長所
• 飼主の負担が非常に少ない
• 投薬ストレスを大幅軽減
• 投薬忘れがない
• 猫にも使用しやすい
〇短所
• 高価
• 効果調整が難しい
• 副作用が出ても除去しにくい
• 鼓膜状態によっては使用できない
〇向いているケース
• 自宅点耳が困難
• 猫
• 暴れる犬
• 軽度〜中等度症例

➂内服薬による治療
重度炎症や中耳炎を伴う場合には、抗生物質や抗炎症薬を内服することがあります。
特に強い腫れがある場合にはステロイドが有効なことがあります。

➃外科治療
慢性化して耳道が塞がっている場合には手術が必要になることがあります。
〇手術適応
• 重度慢性外耳炎
• 耳道閉塞
• 腫瘍
• 中耳炎併発

【外耳炎を予防するには?】
• 耳を湿ったままにしない
• 定期的に耳をチェックする
• 適切な頻度で耳掃除を行う
• アレルギー管理を行う
• 異常があれば早めに受診する
「少し赤いだけ」と放置すると慢性化するため、早期治療が重要です。

【外耳炎に関するよくある質問(FAQ)】
Q1. 外耳炎は自然に治りますか?
軽度なら改善することもありますが、多くは悪化・慢性化します。早期受診がおすすめです。
Q2. 耳掃除は毎日した方が良いですか?
毎日の耳掃除は逆効果になることがあります。頻度は体質によって異なるため、獣医師に相談しましょう。
Q3. 市販の点耳薬を使っても大丈夫ですか?
原因によって適切な薬が異なります。誤った使用で悪化する場合があるため注意が必要です。
Q4. 外耳炎は他の動物にうつりますか?
耳ダニ性外耳炎は感染します。多頭飼育では同居動物のチェックも重要です。
Q5. 外耳炎は繰り返しますか?
アレルギー体質や耳の構造によっては再発しやすい病気です。根本原因の管理が重要になります。
Q6. 猫も外耳炎になりますか?
はい。特に耳ダニやアレルギー関連の外耳炎がみられます。
Q7. 点耳薬を嫌がる場合はどうしたら良いですか?
長期持続型点耳薬を選択できる場合があります。無理に投薬すると関係悪化につながるため、獣医師に相談しましょう。

【まとめ】
外耳炎は犬猫で非常に多い病気ですが、早期発見・早期治療で改善しやすい病気でもあります。
特に最近では、毎日点耳するタイプだけでなく、週1回型や月1回型など治療選択肢が増えており、ペットや飼主に合わせた治療が可能になっています。
耳を頻繁に掻く、臭いがするなどの症状がみられたら、早めに動物病院で診察を受けましょう。

子犬・子猫の下痢

【こんなことはありませんか?】
• 購入後や譲渡後、一週間もたたずに下痢が始まった。
• 下痢だけではなく、粘液便や血便を認めた。
• 下痢と共に元気食欲も低下してきた。
• 下痢が続いていたが、急に歩けないくらいふらつき始めた。
上記の症状がある → すぐに受診してください。

【この記事のトピック】
• 子犬・子猫を購入・譲渡後すぐに起こる下痢はとても多く、原因に特徴があります。
• 環境の変化、寄生虫によるものが主な原因です。
• 食欲低下により、食べない状態のままにすると低血糖で倒れるため、早めに動物病院を受診しましょう。

【原因(購入・譲渡直後に多いもの)】
1. 環境変化によるストレス(最多)
・親・兄弟・元の環境からの分離。
・温度・湿度・生活音の変化。
・移動(輸送)
⇒ストレス性腸炎(環境変化で食欲不振に陥ることもある)。
⇒多くは軽度〜中等度の軟便〜下痢。

2. 食事関連
・急なフード変更
・フードの与えすぎ
・おやつ・人の食べ物
・子猫:ミルク不耐性
⇒お迎え後2–3日以内に発症しやすい。

3. 寄生虫・原虫
・回虫(お腹が膨満する事がある。嘔吐すると回虫が出てくることがある)
・ジアルジア(下痢~水様便。腸の免疫が弱いと感染が長引くことがある)
・コクシジウム(血便が混ざることがある)
⇒ペットショップ・ブリーダーなど多頭飼育環境にて広がりやすい。
⇒一見元気でも下痢が続く。

ジアルジア栄養型虫体

ジアルジア栄養型虫体(顕微鏡写真)

4. 感染症(死亡する可能性あり)
・犬:パルボウイルス
・猫:猫汎白血球減少症(猫パルボ)
・コロナウイルス
⇒ワクチン未完了の月齢で要注意
⇒元気消失・嘔吐・血便・ぐったり。

5. 免疫未熟・生理的要因
・腸内細菌叢が未成熟
・母乳からの切り替え直後(そもそもフードに慣れていない)

【診断の進め方】
1. 問診
・お迎えから何日目か
・月齢・体重
・元のフードと現在のフード(フードの袋の写真があるとベター)
・ワクチン・駆虫歴(購入時の健診表やワクチン接種証明書を持参しましょう)
・下痢の性状(血便・粘液便を含んでいるか)

2. 初期検査
・糞便検査:直接法、浮遊法(寄生虫/原虫チェック必須)
・ジアルジア検査(院内検査キット)
・犬パルボ検査(院内検査キット、必要に応じて)
・猫パルボ検査(院内検査キット、必要に応じて)

3. 追加検査(重症時)
・血液検査(脱水・低血糖・炎症の有無)
・画像検査(エコー検査などで腸閉塞など除外)

【治療】
軽症(元気・食欲あり)
・フードを元のものに戻す/切り替えを中止
・消化器用療法食(子犬子猫用あり)
・整腸剤・プロバイオティクス
・必要に応じて止瀉薬

寄生虫・原虫が疑われる/確認された場合
・駆虫薬(回虫)パモ酸ピランテルなど
・抗原虫薬(ジアルジア・コクシジウム)メトロニダゾール、トルトラズリルなど
・環境消毒(二酸化塩素など)、同居動物チェック

中等度〜重症
・皮下 or 静脈点滴
・抗菌薬(細菌性腸炎・二次感染対策)
・制吐剤・胃腸保護薬
・入院管理(特にパルボ疑い)

【まとめ】
・お迎え直後+元気あり…ストレス、食餌の影響を疑います。
・下痢が数日以上持続…寄生虫、原虫の関与を疑います。
・血便、嘔吐、元気消失…ウイルス感染を疑います。
・体重が増えない…慢性寄生虫感染を疑います。
・環境変化による下痢はよくあります。
・子犬子猫は悪化が早いので経過に気を付けます。
・便検査は必須です。
・ワクチン接種が完了するまでは注意しましょう。

【自宅での注意点、予防・対策】
・お迎え後1週間は環境を最小限にしてストレスから守りましょう。
・フードは急に変えないようにしましょう。
・早期の便検査・駆虫を実施しましょう。
・ワクチン計画を徹底しましょう。

【よくある質問FAQ】
Q1.子犬・子猫の下痢はよくあることですか?
A.はい、比較的よくみられます。
子犬や子猫は消化器が未熟で、環境の変化や食事の変化、ストレスの影響を受けやすいため、下痢を起こしやすい時期です。ただし、重症化しやすい年齢でもあるため、軽く考えすぎないことが大切です。

Q2.どんな原因で下痢になりますか?
A.原因は一つとは限りません。
・食事の変更・食べすぎ
・新しい環境によるストレス(購入・譲渡直後など)
・寄生虫感染
・ウイルス感染
・細菌感染
・誤食(異物・人の食べ物など)
特に迎えたばかりの時期は複数の原因が重なることもあります。

Q3.元気なら様子を見ても大丈夫ですか?
A.軽度であれば短時間の様子観察は可能ですが注意が必要です。
以下の場合は早めの受診をおすすめします。
・食欲がない
・元気がない
・嘔吐を伴う
・血便が出ている
・水のような下痢が続く
・半日〜1日で改善しない
子犬・子猫は脱水が急速に進むため、悪化が早いのが特徴です。

Q4.下痢のときはごはんを止めた方がいいですか?
A.自己判断で絶食させるのはおすすめしません。
成長期の子犬・子猫は低血糖になりやすく、長時間の絶食は危険です。
食事量や内容の調整が必要な場合があるため、できれば獣医師にご相談ください。

Q5.家でできることはありますか?
A.以下を観察しておくと診察に役立ちます。
・下痢の回数・期間
・便の状態(軟便、水様、血液、粘液)
・食欲・元気の有無
・嘔吐の有無
・新しく食べたもの
可能であれば便を少量持参していただくと検査がスムーズです。

Q6.下痢は他のペットにうつりますか?
A.原因によっては感染します。
寄生虫やウイルス性の場合、同居動物へ感染する可能性があります。
下痢をしている間は、
・トイレをこまめに清掃する
・便に触れた後は手洗いする
・食器の共有を避ける
などの対策を行いましょう。

Q7.ワクチン前でも受診して大丈夫ですか?
A.もちろん大丈夫です。むしろ早めの受診が重要です。
ワクチン未接種の子犬・子猫は感染症に対する抵抗力が弱いため、下痢症状がある場合は早期診断・治療が大切です。

Q8.すぐに治る下痢と危険な下痢の違いは?
A.次の症状があれば要注意です。
・ぐったりしている
・嘔吐が続く
・血便・黒い便
・発熱や震え
・急激な体重減少
これらは重篤な病気のサインの可能性があります。

休診のお知らせ

3/31(火)は棚卸し作業のため、終日休診となります。フードや薬の購入、電話対応もできませんので予めご了承ください。

院長

ワンちゃんとネコちゃんの眼のトラブル ―眼が開けられない―

【こんなことはありませんか?】
• 明るい場所で眼を細める。
• ⽬のまわりを前⾜でこする、こすりつける。
• まぶたを強く閉じて開けたがらない。
• 眩しいときに鳴く・落ち着きがない・顔を触られるのを嫌がる。
など

以下に該当する場合は、すぐに受診してください。
• 突然、⽚眼だけ強く閉じて開けない。
• 涙や⾚⾊の液体が眼から出ている。
• 眼が⾚い/⽩く濁る/急に⼤きくなったように⾒える。
• ⽚⽅だけ瞳の⼤きさが違う。
• 元気・⾷欲の低下や嘔吐など、全⾝状態の悪化を伴う。
など

⾓膜穿孔(⾓膜に⽳が開いてしまう)
急性緑内障
⽔晶体脱⾅(⽔晶体が本来とは別の場所に落ちてしまう)
重度ぶどう膜炎

などが疑われます

【この記事のトピック】
明るい場所で⽬を細める、暗い所にばかり⾏きたがる、⽚⽬だけ細めている…。
こうした「まぶしがる」しぐさは、医学的には羞明(しゅうめい)=光を嫌がる症状と呼びます。
単なる癖や仕草の場合もありますが、多くの場合は「⽬が痛い」「⽬に違和感がある」というサインです。
眼の中で痛みを感じるのは、主に⾓膜と虹彩・⽑様体(前部ぶどう膜と総称されます。)、眼球周囲の組織であり、三叉神経という神経が関与します。

【原因として考えられること】
-眼局所の疾患-
眼瞼疾患
⾓膜疾患
⽔晶体疾患
網膜疾患
その他

など

-全⾝性疾患-
免疫介在性(免疫異常)疾患
ホルモン疾患
⼦宮蓄膿症
全⾝性⾼⾎圧
感染症

など

【診断のための主な検査項⽬(当院の場合)】
※患者様の状態、年齢などに応じて検査内容を決めていきます。
• 視診
• 触診
• スリットランプ検査
• 涙液量検査
• ⾓結膜染⾊試験
• 眼圧測定
• 眼底検査
• 眼球超⾳波検査
など

【治療の基本⽅針】
原因によって内容は⼤きく変わりますが、代表的には、

点眼薬、眼軟膏:抗⽣剤、抗炎症薬、⾓膜保護剤、鎮痛剤など
外科⼿術や保護⽤コンタクトレンズの設置が必要となるケース
背景に全⾝性の病気がないかの各種検査(⾎液検査、レントゲン検査、超⾳波検査、、、)

など

【よくある質問(FAQ)】
Q. しばらく様⼦を⾒ても⼤丈夫?
A. 気になる症状がある場合は、元気そうであっても早めの受診をお勧めいたします。
Q. ⽚⽬だけまぶしがるが、元気だし様⼦を⾒てもよい?
A. ⽚⽬だけの羞明は「その⽬に痛みがある」可能性が⾼く、⾃⼰判断での放置はおすすめできません。軽い結膜炎であっても、放置すると症状が重症化することもあります。また、眼だけの問題なのか、それとも前進性の問題なのかの⼿掛かりになる場合もあります。

ワンちゃんとネコちゃんの咳のトラブル ―ケンネルコフ―

【こんなことはありませんか?】
• 子犬を迎え入れたら1週間も経たないのにケッケッと咳をし始めた。
• 安静時や就寝中も咳が出て辛そう。
上記の症状がある → すぐに受診してください。

【この記事のトピック】
• 迎え入れたばかりの子犬が咳をしていたら、ケンネルコフを疑いましょう。
• 咳の症状以外は、特に問題がないことが多いです。
• 動物の移動のストレスや環境の変化が発症の誘因になることがあります。
• 1~2週間の内服薬の投与で治癒する事が多いが、症状が長引いたり悪化したりする時は、早めに病院を受診しましょう。

【ケンネルコフとは】
• ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)は、ウイルスや細菌が混合感染して起こる呼吸器の病気です。
• ペットショップ、ブリーダー、保護施設など多頭飼育環境で感染しやすいです。
• 子犬・免疫力の低い犬は特に注意が必要です。
• 人の「風邪」に近いイメージです。
• 子犬を購入後、数日〜1週間前後で発症することが多いです。

【主な症状】
よく見られる症状
• 乾いた咳(ケッケッ、コンコン、ガーガー)。
• 咳き込むと吐くような仕草(嘔吐ではない)。
• 興奮時・運動後・首輪を引いた時に咳が出やすい。
• 透明〜白っぽい鼻水。

重症化すると
• 元気・食欲低下。
• 発熱。
• 黄色や緑色の鼻水。
• 肺炎(特に子犬は注意)。
※「元気はあるが咳だけ」というケースも多いです。

【診断の進め方。当院の場合】
1.問診
• 購入時期と他犬との接触歴を伺います。発症までの病気の潜伏期間の推測に必要です。
• 食欲と元気を確認します。子犬のケンネルコフでは咳以外は問題なしというケースが多いのでこれらの低下は重症を疑います。

2.身体検査
• 咳の性質(乾いた咳、湿った咳、ゲッと吐くような咳など)、聴診にて心音と呼吸音の確認を行います。呼吸音の異常や亢進は気管支炎や肺炎を示唆します。
• 必要に応じて、レントゲン検査にて気管支炎や肺炎の有無を、血液検査にて炎症の程度(白血球数、CRP)を評価します。
• PCR検査(原因病原体の特定)が必要になることは稀です。
※多くの場合、症状と経過から臨床診断されます。

【治療方法】
症状の程度によって治療が変わります。

軽症の場合
• 気管支拡張薬:気管支を広げて呼吸を楽にします。また、気道粘膜を保護し、痰の排泄を助けます。
• 去痰薬:痰の排出を促します。
• 咳止め薬:咳の頻度を減らし、気道の炎症を軽減し、呼吸を楽にします。
• 抗炎症薬:気管支炎などの炎症を軽減します。
• 安静、保温、適度な保湿をします。
• 自然に回復(1〜2週間程度)することもあります。
※当院では、ケンネルコフでは気管支拡張薬(アミノフィリン)、去痰薬(アンブロキソール)を主に処方しております。

細菌感染が疑われる場合
・抗生物質を処方します。
※当院では、ケンネルコフではアジスロマイシンを主に処方しております。

重症・肺炎を伴う場合(まれ)
• 点滴治療
• 酸素吸入
• 入院管理(子犬ではまれに必要)

【自宅での注意点】
• 興奮させないようにしましょう。無理な運動も避けてください。
• 首輪よりハーネスを使用しましょう(頚部の気管を圧迫しない)。
• 他の犬との接触を避けましょう(感染防止)。
• 室内を乾燥させすぎないようにしましょう。
• 十分な水分補給をさせましょう。
• 症状悪化(咳が続く・元気消失・食欲不振・呼吸が苦しそう)があればすぐ病院を受診しましょう。

【予後と予防】
• 多くは適切な治療で完治します。
• ワクチン(混合ワクチン)で重症化予防が可能です。
• 子犬購入後は早めの健康チェックをおすすめします(飼育初心者の方の中には咳をそれと気づかないことがあります)。

【よくある質問FAQ】
Q1. 子犬でもかかりますか?
A. はい、子犬は特にかかりやすいです。
免疫が未発達なため、ペットショップ・ブリーダー・ドッグラン・動物病院など、犬が集まる場所で感染することがあります。

Q2. 他の犬や人にうつりますか?
A.犬同士ではうつります(感染力は強め)が、人には基本的にうつりません。
治るまでは、他の犬との接触は避けましょう。

Q3. 動物病院に行く目安は?
A. 次の場合は早めに受診してください:
• 咳が3~5日以上続く
• 咳がどんどんひどくなる
• 食欲・元気がない
• 黄色や緑色の鼻水が出る

Q4. 治療期間はどれくらいかかりますか?
A.軽症の場合は、1~2週間程度で回復することが多いです。
薬(咳止め・抗生剤など)が処方された場合は、獣医師の指示どおり投薬しましょう。

Q5. 予防はできますか?
A. 完全ではありませんが、以下でリスクを下げることができます。
• 混合ワクチン接種
• 子犬期は犬が密集する場所を避ける
• 体調が悪い犬との接触を避ける
• ストレスを減らす

Q6. 咳が治ったらすぐ散歩をしてもいいですか?
A.完全に咳が止まってから、数日~1週間が経過したら、散歩を再開するのが安心です。
再発や他犬への感染防止のため、獣医師の指示に従いましょう。

ワンちゃんとネコちゃんのお腹のトラブル ―⻑引く下痢―

【こんなことはありませんか?】
• 下痢が⻑く続く、または繰り返す。
• 嘔吐が頻繁に認められる。
• ⾷欲が落ちてきた。
• 体重が減ってきた。
• 元気がない。
• お腹がゴロゴロ鳴る。

以下に該当する場合 → すぐに受診してください。
• ぐったりしている
• ⽔が飲めない。
• ⿊い便、または⼤量の⾎便をした。
• 嘔吐が複数回。
• 体重が急に減ってしまった。
• お腹が張って苦しそうにしている。
• ⼦⽝・⼦猫、⾼齢の⼦で症状が続いている。

【この記事のトピック】
下痢はよくある症状ですが、2〜3 週間以上続く、または良くなったり悪くなったりを繰り返す場合は「慢性下
痢」の可能性があります。慢性下痢には、⾷事との相性、寄⽣⾍・感染、腸の慢性的な炎症、膵臓や他の臓器の
問題など、複数の原因が関わることがあります。早めの診察と、段階的な検査・治療が⼤切です。

【原因として考えられること】
慢性下痢の原因は1つとは限りません。代表的には次のようなものがあります。
• ⾷事関連:⾷べ物が合わない、急なフード変更、おやつの影響などによるもの。
• 寄⽣⾍・感染症:検便で⾒つかりにくい場合もあります。
• 腸の慢性炎症:いわゆる「慢性腸症(慢性炎症性腸疾患を含む)」を指します。
• 膵臓や他の臓器の問題:消化を助ける働きの低下などにより⽣じます。
• 腫瘍や内分泌疾患:年齢や症状により鑑別が必要です。

【診断のための主な検査項⽬(当院の場合)】
※患者様の状態、年齢などに応じて検査内容を決めていきます。
• 便検査
• ⾎液検査
• 腹部超⾳波検査
• 必要に応じた特殊⾎液検査
• 内視鏡検査/組織検査
など

【便の特徴からわかるヒント】
便の様⼦から、腸のどのあたりが主に影響を受けているか推測できることがありますので、どちらの傾向が強そ
うか確認してみてください。診察の際、診断の⼿がかりになります。
-おもに⼩腸の影響が疑われるサイン
• 便の量が増える。
• ⽔っぽい便が続く。
• 体重が減る。
など
-おもに⼤腸の影響が疑われるサイン
• 少量の便を何度もする。
• 粘液が混じる。
• 鮮⾎が混じる。
• いきんでも少ししか出ない。
など

【治療の基本⽅針】
慢性下痢は原因に合わせた治療が重要です。近年は、まず⾷事と腸内環境の⾒直しを重視し、必要に応じて薬を
追加する考え⽅が⼀般的です。
-⾷事療法
• 可溶性繊維と不溶性繊維を豊富に含んだ療法⾷
• 消化に配慮した療法⾷
• アレルギーに配慮した療法⾷
• 必要に応じた脂肪量の調整
など
-腸内環境のサポート
• 整腸剤
• プロバイオティクス/プレバイオティクス
など
-薬物療法
⾷事や腸内環境の調整で⼗分に改善しない場合、抗炎症薬や免疫を調整する薬を組み合わせることがあります。
抗菌薬は必要性を慎重に検討して使⽤します。

【よくある質問】
Q. しばらく様⼦を⾒ても⼤丈夫?
A. 気になる症状がある場合は、元気そうであっても早めの受診をお勧めいたします。
Q. 猫は下痢が⽬⽴たないこともある?
A. はい。猫では体重減少や嘔吐が主なサインで、下痢が⽬⽴たない場合もあります。「痩せてきた」「吐くことが
増えた」というサインもとても重要です。中には、腫瘍などの原因が隠れているケースもありますので、早めの
受診をお願いいたします。
Q. 内視鏡検査もお願いできますか?
A. はい。当院では内視鏡検査も実施可能です。状況や必要性に応じてご提案させていただきます。また、内視鏡
だけでなく、CT 等の必要性があることもあり、そのような場合は、武蔵国どうぶつ医療センターと連携しなが
ら、検査・治療を進めることができますので、ご安⼼ください。
※武蔵国どうぶつ医療センターでの検査の必要性がある場合も、クッキーペットクリニックにて診察させていた
だきますので、まずは受診をお願いいたします。

年末年始の診療予定

12/30(火)まで 通常診療
12/31(水)9〜12時、14〜17時
1/1(木・祝)休診(元日)
1/2(金)〜4(日)9〜12時、14〜17時
1/5(月)〜通常診療
※12/31〜1/4は院長1人での営業です。助手はいません。急患および通院患者を優先します。普段以上に皆様にご協力いただきます。
※健康診断、予防接種、耳掃除、爪切り、肛門腺しぼり等の不急のご用件は、1/5(月)以降の通常営業日の来院にご協力をお願い致します。
※継続使用中の内服薬の処方は、12/30までにお済ませください。

ワンちゃんとネコちゃんの乳腺のトラブル ―乳腺腫瘍―

【こんなことはありませんか?】
•お腹にしこりができた
•最近そのしこりが大きくなった気がする。しこりの数が増えた。
•なんとなく元気がない
上記の症状が複数回ある → すぐに受診してください。

【この記事のトピック】
•乳腺腫瘍は雌の犬猫(特に高齢)に多くみられる腫瘍性疾患です。
•ホルモンが関係することが知られており、未避妊または避妊が遅れてしまった犬猫での発生が多いとされています。
•特に猫の乳腺腫瘍は悪性が8割以上を占めるため、早期の腫瘍切除が推奨されます。

【乳腺腫瘍とは】
乳腺を構成する乳腺細胞が腫瘍化する病気です。犬と猫では特徴が異なりますが、どちらも悪性の場合には進行することでリンパ節、肺、腹腔内臓器などに転移します。良性であっても時間経過とともに悪性腫瘍へと転化することがあります。また早期の避妊手術によって乳腺腫瘍が発生する確率を下げることができます。犬も猫も未避妊雌は避妊雌の約7倍の発生率とされています。
(犬の乳腺腫瘍)
良性:悪性の比率はおおよそ1:1であり、悪性のうち転移を生じるものは半数程度とされています。そのため多くの症例では適切な治療により比較的良好な予後が期待できます。ただし前述したように良性であっても後に悪性転化する危険性があるため、長期間無治療で放置することは推奨されません。転移箇所はリンパ節(腋窩、鼠径)、肺、内外腸骨リンパ節、胸骨リンパ節、肝臓、骨などです。
初回発情前に避妊手術を実施することでその後の乳腺腫瘍の発生率が0.5%まで低下することが知られています。初回発情後で8%、2回目発情後で26%とされているので発生率低下には早期の避妊手術が効果的です。
(猫の乳腺腫瘍)
犬と違って85%以上が悪性です。皮膚や皮下織や腹壁に強い浸潤性を示し固着を認めることが多く、半数以上は複数の乳腺に存在しています。そのため犬よりもより積極的な治療介入が必要となります。転移箇所はリンパ節(腋窩、鼠径)、肺、胸腔内リンパ節、胸膜、肝臓、横隔膜、副腎、腎臓などです。
生後12か月以内に避妊手術を実施すると90%が未避妊雌と比較して発生率が有意に低下するとされています。

【診断の進め方(当院の場合)】
1.問診・身体検査(腫瘤の発生時期、拡大傾向の有無、個数と位置、避妊時期、既往歴など)
2.細胞診(そもそもしこりが乳腺腫瘍を疑うものかどうかの判断のため。お腹にできるしこりは他の腫瘍や非腫瘍の可能性もあります。)
3.血液検査
4.画像検査(レントゲン・超音波)
5.全身麻酔下での検査(CTによる原発巣および転移の評価)

【治療の選択肢】
・外科療法
基本的には外科手術が第一選択となります。選択すべき術式は動物種の違い、腫瘍の大きさや数、周囲組織への浸潤性などにより異なります。
犬の場合は主な方法として腫瘍のみの切除、罹患乳腺のみの切除、乳腺区域切除(第1,2,3あるいは第3,4,5)、片側あるいは両側乳腺切除が挙げられます。
猫の場合には犬と比較して腫瘍の浸潤性が強く、腫瘍が発生した乳腺のみを摘出する方法では高率に新たな病変ができてしまうため、転移の徴候が認められなければ腫瘍の大きさに関わらず片側あるいは両側乳腺切除が推奨されます。
・化学療法
犬については乳腺癌に対する化学療法の有効性は示されていません。
猫についても乳腺癌に対する化学療法は確立されていませんが、遠隔転移を起こした症例などでは化学療法との併用(あるいは化学療法単独)が行われる場合があります。

【よくある質問(FAQ)】
Q:早期に避妊手術をしても乳腺腫瘍が発生することはありますか?
A:はい。あくまでも発生確率を下げるのみであり、発生する可能性はゼロではありません。
Q:細胞診の検査をすれば悪性か良性かわかりますか?
A:予想がつく場合はありますが、診断はできないことも多いです。特に犬の乳腺腫瘍に関しては細胞診での良性悪性の判断は困難とされています。ただししこりが乳腺腫瘍であるのか、その他の腫瘍であるのか(肥満細胞腫など)、非腫瘍であるのか(炎症性病変など)を外科切除前に確認するのに細胞診は有用です。
Q:どのくらい生きられますか?
A:一概には言えませんが、犬ではリンパ節転移がある場合とそうでない場合の平均生存期間がそれぞれ8~17ヶ月、19~24ヶ月以上という報告があります。また腫瘍の大きさが5cm以上で未避妊の犬では術後2年生存率が低かったという報告もあります。猫では腫瘍が2cm未満で適切な手術がなされた場合の予後が比較的良好であるのに対し、3cmを超える場合には生存期間が4~6ヶ月という報告があります。早期発見は重要なポイントになります。