【このような症状はありませんか?】
• 耳をしきりに掻いている
• 頭を頻繁に振る
• 耳から嫌な臭いがする
• 耳垢が増えた
• 黒色や黄色のベタベタした耳垢が出る
• 耳が赤く腫れている
• 耳を触られるのを嫌がる
• 痛がって鳴く
• 顔を床にこすりつける
• 元気や食欲が落ちる
• 耳の周囲の毛が汚れている
上記の症状がある → 注意が必要です。
犬や猫が頻繁に耳を気にしている場合、「外耳炎」を起こしている可能性があります。外耳炎は動物病院でも非常に多い耳の病気で、放置すると慢性化し、治療が長引くこともあります。
特に垂れ耳の犬種や、耳の中に毛が多い犬種、アレルギー体質の犬猫では繰り返し発症することがあります。
【外耳炎とは?】
外耳炎とは、「耳の入り口から鼓膜までの部分(外耳)」に炎症が起こる病気です。
軽度であれば赤みやかゆみ程度ですが、悪化すると強い痛みや大量の耳垢、細菌感染を引き起こします。慢性化すると耳道が狭くなり、治療が難しくなる場合もあります。
【外耳炎の種類】
➀細菌性外耳炎
細菌が増殖することで発症する外耳炎です。最も一般的なタイプで、犬で多くみられます。
〇主な症状
• 黄色〜茶色の耳垢
• 強い臭い
• 耳の赤み
• 痛み
〇特徴
湿気や耳の蒸れ、アレルギーなどが背景にあることが多く、再発しやすい特徴があります。
➁マラセチア性外耳炎
「マラセチア」という酵母様真菌が増殖するタイプです。
〇主な症状
• ベタベタした黒褐色の耳垢
• 強い脂っぽい臭い
• 強いかゆみ
〇特徴
脂漏症やアレルギー疾患と関連していることが多く、慢性化しやすい傾向があります。

「マラセチア性外耳炎の耳」

「正常な耳」
➂耳ダニ(ミミヒゼンダニ)性外耳炎
猫や若齢犬で多い寄生虫性外耳炎です。
〇主な症状
• 黒い乾燥した耳垢
• 大抵は両側性の発症。
• 激しいかゆみ
• 頭を振る
〇特徴
多頭飼育では感染が広がりやすいため注意が必要です。
➃アレルギー性外耳炎
食物アレルギーやアトピー性皮膚炎に伴って起こる外耳炎です。
〇主な症状
• 慢性的な耳のかゆみ
• 繰り返す外耳炎
• 皮膚の赤み
〇特徴
根本原因であるアレルギー管理が重要になります。
➄異物による外耳炎
草の種や毛玉などが耳に入り炎症を起こすタイプです。
〇主な症状
• 急に頭を振る
• 強い痛み
• 片耳だけの症状
〇特徴
散歩後に突然症状が出るケースがあります。
【外耳炎の原因】
外耳炎は単一の原因だけでなく、複数の要因が重なって発症することが多い病気です。
➀耳の構造
犬猫の耳道はL字型をしており、湿気がこもりやすい構造です。
特に以下の犬種では注意が必要です。
• トイ・プードル
• コッカー・スパニエル
• フレンチ・ブルドッグ
• ゴールデン・レトリーバー
➁湿気・蒸れ
シャンプー後や水遊び後に耳が湿ったままだと、細菌や真菌が増殖しやすくなります。
➂アレルギー
近年では、慢性外耳炎の背景にアレルギー疾患があるケースが増えています。
➃間違った耳掃除
過度な耳掃除は皮膚を傷つけ、逆に炎症を悪化させることがあります。
綿棒を奥まで入れる行為は危険です。
【外耳炎の診断】
➀耳鏡検査
耳の中を観察し、赤み・腫れ・耳垢の状態を確認します。
➁耳垢検査(細胞診)
耳垢を顕微鏡で調べ、細菌・マラセチア・耳ダニの有無を確認します。
外耳炎の治療方針を決める上で非常に重要な検査です。
➂細菌培養検査
難治性や再発性の場合には、どの抗生物質が有効か調べるため培養検査を行うことがあります。
➃基礎疾患の検査
アレルギーや内分泌疾患が疑われる場合には血液検査などを追加します。
【外耳炎の治療方法】
➀耳洗浄(クリーニング)
治療の基本となるのが耳洗浄です。
耳垢を除去することで、点耳薬がしっかり作用するようになります。
ただし重度炎症では無理な洗浄で悪化する場合もあるため、獣医師の判断が必要です。
➁点耳薬による治療
現在の外耳炎治療では、点耳薬が中心となります。
近年は「毎日点耳するタイプ」だけでなく、「1回で長期間効果が続くタイプ」も増えています。
ⅰ毎日点耳するタイプ
〇特徴
1日1〜2回、自宅で継続的に点耳します。
〇長所
• 細かく治療調整できる
• 比較的安価
• 重症例にも対応しやすい
• 改善を見ながら変更できる
〇短所
• 毎日の投薬が必要
• 嫌がる動物ではストレスになる
• 飼主の負担が大きい
• 投薬忘れで治療効果が下がる
〇向いているケース
• 慢性外耳炎
• 重症例
• 頻繁な再診が可能な場合
ⅱ週1回〜隔週タイプ
〇特徴
病院で投与することが多く、持続性のある薬剤です。
〇長所
• 自宅投薬の負担軽減
• 投薬ミスが少ない
• 動物とのストレス軽減
〇短所
• 毎日タイプより高価
• 重症例では不十分な場合がある
• 再診が必要
〇向いているケース
• 軽度〜中等度外耳炎
• 投薬を嫌がる動物
ⅲ月1回タイプ(長期持続型点耳薬)
〇特徴
1回の点耳で数週間効果が持続する製剤です。
〇長所
• 飼主の負担が非常に少ない
• 投薬ストレスを大幅軽減
• 投薬忘れがない
• 猫にも使用しやすい
〇短所
• 高価
• 効果調整が難しい
• 副作用が出ても除去しにくい
• 鼓膜状態によっては使用できない
〇向いているケース
• 自宅点耳が困難
• 猫
• 暴れる犬
• 軽度〜中等度症例
➂内服薬による治療
重度炎症や中耳炎を伴う場合には、抗生物質や抗炎症薬を内服することがあります。
特に強い腫れがある場合にはステロイドが有効なことがあります。
➃外科治療
慢性化して耳道が塞がっている場合には手術が必要になることがあります。
〇手術適応
• 重度慢性外耳炎
• 耳道閉塞
• 腫瘍
• 中耳炎併発
【外耳炎を予防するには?】
• 耳を湿ったままにしない
• 定期的に耳をチェックする
• 適切な頻度で耳掃除を行う
• アレルギー管理を行う
• 異常があれば早めに受診する
「少し赤いだけ」と放置すると慢性化するため、早期治療が重要です。
【外耳炎に関するよくある質問(FAQ)】
Q1. 外耳炎は自然に治りますか?
軽度なら改善することもありますが、多くは悪化・慢性化します。早期受診がおすすめです。
Q2. 耳掃除は毎日した方が良いですか?
毎日の耳掃除は逆効果になることがあります。頻度は体質によって異なるため、獣医師に相談しましょう。
Q3. 市販の点耳薬を使っても大丈夫ですか?
原因によって適切な薬が異なります。誤った使用で悪化する場合があるため注意が必要です。
Q4. 外耳炎は他の動物にうつりますか?
耳ダニ性外耳炎は感染します。多頭飼育では同居動物のチェックも重要です。
Q5. 外耳炎は繰り返しますか?
アレルギー体質や耳の構造によっては再発しやすい病気です。根本原因の管理が重要になります。
Q6. 猫も外耳炎になりますか?
はい。特に耳ダニやアレルギー関連の外耳炎がみられます。
Q7. 点耳薬を嫌がる場合はどうしたら良いですか?
長期持続型点耳薬を選択できる場合があります。無理に投薬すると関係悪化につながるため、獣医師に相談しましょう。
【まとめ】
外耳炎は犬猫で非常に多い病気ですが、早期発見・早期治療で改善しやすい病気でもあります。
特に最近では、毎日点耳するタイプだけでなく、週1回型や月1回型など治療選択肢が増えており、ペットや飼主に合わせた治療が可能になっています。
耳を頻繁に掻く、臭いがするなどの症状がみられたら、早めに動物病院で診察を受けましょう。






